雑記・参

□夏の日
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灼けたアスファルトの上に
1羽の黄揚羽が潰されていた

車輪の跡が生々しいけれど
息はまだあるようで
生き残ったほうの羽を
湿った温風に翻してゐる


目が合ったような気がして
僕は咄嗟に視線をそらした
見てはいけないものを
見てしまった気持になった

何食わぬ顔で僕は立ち去る

風に翻るだらしない羽と
惨い跡が脳裡から離れない

黄揚羽の
下賤のものを見るような
軽蔑の目がじっと僕を見る
だいぶ離れたのに
じっと僕の背中に張りつく



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