BL+日常
□ビタースイート
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夜中にふ、と目が覚めた。
携帯で時間を確認するが、眠ってしまってからあまり時間は経っていないようだ。
起き上がって隣を見ると、美柴が背を向けて眠っている。
ぐっすり眠っているのか、起きる気配はない。
（………無理させちまったか…）
そんなことをぼんやり考えながら、テーブルに置かれた煙草に手を伸ばす。
パッケージから一本取出し、火を点けようとした時だった。
「………？」
床に散らばった美柴の荷物。
その中に気になる物を見つけ、床から拾い上げた。
それは美柴の学生証だった。
いつもと変わらない無表情の美柴の写真。
他にも学校名や住所など、普段本人の口から聞くことのない情報が記されていた。
煙草を片手にまじまじと見つめていると、
「……何してる」
後ろから聞こえる少し嗄れた声。
振り返ると、寝ていたはずの美柴がこちらの様子を伺っていた。
「お前、誕生日だったのか」
「………は？」
「学生証」
そう言ってニヤリと笑う。
学生証を目の前に出してやれば、眉を寄せて見上げてきた。
「勝手に見るな」
「落ちてたんだよ」
そこに、と付け加えればムッとして学生証を取り返す。
ムキになる美柴を見て、笑みが浮かんだ。
笑っているのが気付かれないように視線を移すと、テーブルの上の箱が目に入った。
綺麗にラッピングされた箱。
美柴に会う前に女にもらったものだった。
それを手に取り、ビリビリとラッピングを剥がしていく。
箱を開けると中にはトリュフが四つ入っていた。
その中から一つ取り出し、口に含む。
「美柴」
名前を呼び振り返った瞬間。
自分の唇を美柴の唇に押しつけた。
驚いて離れようとする美柴の後頭部を掴み、深く口づける。
口の中に広がる、ほろ苦いチョコの味。
「誕生日プレゼントっつーことで」
ビタースイート
（んじゃ、もう一発ヤッとくか）
（………殴られたいか？）
20090214 HAPPY BIRTHDAY!!
鴇、誕生日おめでとう！
タイトルは某因島バンドの曲名から。