駄作ぐさぐさ
□Difinition of beautiful
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小さい頃、隣に住んでいた宮前隣ちゃんは、私が7歳の時に遠くへ引っ越してしまった。
1番の友達だったものだから、私はすっかり落ち込んで、隣ちゃんを思ってはよくメソメソしていた。彼女はとびきり明るくて、素直で、可愛かった。
今思えば引っ越し先の住所なりなんなり聞いておけば連絡も取れたのに、当時の私は全く馬鹿で、突然の引っ越しに当惑して思い至らなかったのだ。
けれど、高校2年生になる春休み。晩ご飯を食べていたら母親が嬉しそうに教えてくれた。
「宮前さん、戻ってくるんだって!」
私は、最近は流石に隣ちゃんのことは考えなくなっていた。けれど母親のその言葉を聞いて、ふっと彼女のことが思い浮かんだ。とてもとても懐かしい、かつての1番の友達。私は素直に嬉しくなった。
どうやら母親は昼間に宮前さんの奥さんと会ったらしく、聞くところによると隣ちゃんの為に春休み明けの新学期には間に合うよう引っ越して来るらしい。突然のとこで時間がギリギリになるけれど、なんと隣ちゃんは私と同じ学校に通い、しかも恐らく同じクラスになるだろうということだった。
「詳しくは本人が話すって仰ってたけど、何か事情があって、ぜひ夕凪ちゃんに隣ちゃんの面倒見て欲しいって。よく分からないけど、仲良くしてあげなさいよ。」
母親にそんなことを言われて、少しドキッとする。一体、彼女に何があるというのか。