短編小説
□下剋上決闘
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「俺と決闘しろぉ!!」
ある休日のレッド寮にそんな声が響きわたる。
デッキの調整をしていた遊樹は急な言葉に目を丸くして顔を上げた。
「お前が言い出すなんて珍しいな」
「今回はガチだぜ」
得意気に笑いながら、声の主である豪が言い放つ。
「さぁ、俺と決闘しろ!──────十代!!」
「え?俺か?」
デッキを向けた方向には翔と共に遊びに来ていた十代の姿があった。
「てっきり遊樹君と決闘するのかと思ったっす」
「ふっ、下剋上という言葉を知ってるか?」
翔の言葉に豪はニヤリ、と笑いながら言い出す。
「は?家督省?」
「下剋上だ!!下の奴が上の奴を討ち倒してのし上がるって事だよ!!」
得意気な豪の言葉は十代のボケによって台無しだった。
豪は場の空気を戻す為に咳払いをし、十代を見る。
「遊樹を倒した実績のあるお前を倒せば必然的にこの寮で俺がトップになるってこった」
「今更そんな事にこだわる意味あんのか?」
「大いにある。俺は絶対に勝たなければならないからな」
「よく分かんねぇぞ?」
豪の言動に遊樹は付いていけないとばかりに肩をすくめた。
すると、十代は楽しそうに笑みを浮かべる。
「へへっ、おもしれぇ。その決闘受けたぜ!!」
「よし、なら表に出な」
「いいぜ」
豪に言われ、決闘盤を持って出ていく。
遊樹と翔もそれに続いた。
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