prf.Layton.
□盲目の愛情
1ページ/1ページ
「逃げたいなら、大声で叫ぶと良い。」
「逃がす気はさらさら無いけどね。」
光のあたらない部屋に捉えた、自由を無くしたウサギ。
月に帰るための軽脚も、すっかり動く気力も無く。
「……せ、です。」
消え入りそうな声色。でもその眼は力強くて、僕には眩しすぎた。
「なんだって?」
強引な口付けで双眸を固く瞑らせながら聞き返す。
「しあわせ、です。」
少し荒く息を吐くその口から漏れた言葉は、あまりにも似つかわしいものではなくて。
「ボクは、貴方の目に映っているだけで、しあわせです。」
緩く微笑んで
跳べないウサギは、とうとう
僕のこの汚れた手中に収まった。
「なら、もっと僕に囚われてよ。そして、キミも僕に堕ちれば良い。」
何もかもを奪った世界から、僕は一つずつ奪い返す。
それは間違った方法だと、この時僕は気づく事はできずに。
囚われたのは、僕の方。
この世界に、キミに陥ってしまったのは。