prf.Layton.
□たちいち
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車に乗る時は助手席、道を歩く時は歩道側。ご飯を食べる時も横に並んで。
先生の左側は、僕の定位置。
「どうしてでしょうか?」
「イヤなのかい?」
「そう言う意味では無く…」
自然に居る事が不思議だった。右側に居るときもあるけど、違和感があって結局左側にまわるから。
「体が覚えてしまってるんだよ。」
先生はボクの横で紅茶をすすりながら笑う。ボクの右側。
外から流れてくる風がカーテンを遊ぶ。
「今もこうして、キミが私の左に居る。」
「はい。」
「左側の温もりを、私は生涯忘れる事は出来ないだろうね。」
先生は穏やかな表情を浮かべてボクの頭を撫でてくれた。
その言葉が嬉しくて仕方ない事、きっと先生は感じてはいないだろうけど。
「おっと…もうこんな時間か。ルーク、出かけるよ。新しいナゾが待っている。」
紛らわすようにおもむろに懐中時計を取り出して、先生がソファから立ち上がる。
右半身にひんやりとした空気が流れた。
「はい、先生。」
それは一瞬で、横に並んで立つとすぐに温かさが戻った。
それはなにげ無くとも特別な意味がある。
「あれ?先生ちょっといつもより離れてませんか?」
「そんな事ないさ。これは
人間が錯覚に陥ってしまうように不可解な違和感の問題でね…」
「そのナゾの解明は難しそうですね。」
いつもの調子でごまかす先生は、たまに気持ちが露わに出ることがあって。そこも好きなんだよね。
そんな先生の左側は、スゴくスゴく良い眺め。