13

隠された宝を守っていた竜が目覚め、国を焼き払おうとする。
戦いを決意するベーオウルフだったが、そのとき彼は老いたる自らの死を予感していた。


かくて民の敵は三百年も、地中にその宝を守っていた
限りなく強く、やがて一人の男が彼の心を怒らせるまで。
竜が目を覚ましたとき、新たな闘いが起こった。
それで命運が尽きなければ、易々と生き永らえもしよう、
災いと追放の身でも、天主の恵みその身を守るならば。

その始まりは恐ろしかった、国の人々にとって、
またそれはすぐに、彼らの宝の興え主にとってもひどい結果となった。
妖魔は火を吐き始めた。輝く館を燃やそうとして。
燃える火がたった、人々を悩ませて。
そこでは生きる者は一人でも、厭うべき翼あるものは残そうとはしなかった。
鬼は国の民を炎に包んだ、焔と火に。火の中に溶けた、ゲータの玉座さえも。
彼にそれゆえ戦の王は、ウェデルの王は、復讐しようと考えた。
その心は悲しかった、生命果てんと死を予感して。



14

運命は限りなく身近に、この老勇士に近づかんとする。
魂の宝を求め、生命と身体とを真二つに分けようとして。
それゆえ長くはなかった、貴人の生命が肉体に結ばれているのは。
最後に彼は言った、『我は出会った、若いとき、多くの戦いに。
それでもなお、我は老獪な民の守り手として、戦いを求め、手柄をたてよう。
もし我を凶敵が洞窟から攻めて来るのなら。』

彼は銘々の武士達に挨拶をした、勇敢な兜着けた人たちに。
最後には、親しい従兵たちに。
そのとき彼は壁の側に見た、数多くの、戦いを生き延びた益荒男は、
戦いのひしめきを、歩兵が激突するときの、
岩の門が立っているのを、流れがそこから山を出て迸り出るのを。
嵐のゲータの君は言葉を出した、
心の強い人は荒れたった。
その声は洞中に、古びた岩の間に高らかに響き渡った。
憎悪は呼び覚まされ、宝の守り主は知った、人の語る声を。
そこにはもはや時はない、
友情を求めるための。

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