「あー、バレンタインの話っスよ。ほら、こいつアメリカ居たじゃないっスか。だから知らないらしいんっスよ」
な、と言いながらリョーマの背中を叩く。
「…痛いっスよ、桃先輩」
「おチビ、帰国子女だもんねー」
そう言い、笑いながら菊丸は腕を絡めてきた。
「……」
「そっスね」
「そいで、バレンタインの事を知りたがってるってトコかにゃ?」
「まぁ、だいたいそんな感じっスね」
「そっかぁ。じゃ俺が教えてあげる。バレンタインってのはね〜」
話を始めた菊丸の話を遮って、我慢の限界を迎えた桃城が、リョーマの腕を引っ張る。
「ちょっと英二先輩。まずは越前から離れてくれませんかね」
「にゃ?良いじゃん。どうせ桃はおチビからチョコ貰うんでしょー。だから俺は今おチビとラブラブするのー!」
「え?俺、桃先輩にあげないといけないんスか?」
「え?あげないの?」
菊丸がキョトンとし、リョーマの方を振り返る。
「だから、俺は日本の“ばれんたいん”について知らないんだって」
何考えてんだか、とでも言いたげにため息を吐きながらリョーマはそう言った。
「あぁ、そうだったにゃ。まだ説明してなかったね。えっと、バレンタインってのは、簡単に言うと好きな子にチョコをあげる日なんだよね」
「…好きな人に…?」
あぁ、とリョーマは頷く
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