「うわ、おチビ可愛い〜!」
「本当、いつもの生意気な越前君だとは思えないね」
周りには俺と越前を囃し立てる先輩達。
そして…
「…桃せんぱい」
目の前には頬を赤く染め、俺の首に手を掛けて甘えてくる越前。
(……何だ、この状況)
こんな事になった元凶は、一時間前に遡る。
1時間前――
レギュラーしか残っていない部室で、英二先輩が騒ぎたてたいたので、何事かと思って聞いてみたら『今から英二先輩ん家で遊ばないか』という事だった。
「ねぇ、皆今日家来ない?!俺ん家今日、親が留守なんだよねー」
「へぇ、皆でね。楽しそうだね。手塚、どうする?」
「あぁ、家族に連絡すら取れば、たまには良いんじゃないか?たまにはこういうのも大事だ」
「じゃあ、僕と手塚は参加ね」
「海堂、俺は参加するけどお前はどうするんだ?」
「…じゃあ、俺も参加します」
「皆行くのかー。楽しそうだし、俺も参加させて貰おうかな」
レギュラーが次々と参加を決めている中、ただ一人、越前だけは不機嫌だった。
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