□valentine
1ページ/9ページ




いつものように机に突っ伏して寝ていたら、女子の何気ない会話が耳に入ってきた。

「ねえ明日どうする?本命にあげるの?」
「ああ、バレンタインね」

valentine。
聞きなじみのある言葉だ、と思いつつ日本にもあるのかと軽く耳を傾けることにした。

アメリカに居た俺は日本のバレンタインについては正直全く知らない。


「今考えてるのよね」
「そっか」
「頑張ろうね」



え、……情報それだけ?


『バレンタイン』についての会話を聞こうと思っていたのに、肝心な内容については触れなかったため、結局日本のバレンタインについては分からずじまいだった。

気になる事があるのを残しておけない性分のリョーマは、部活の着替え中に桃城に尋ねる事にした。



「桃先輩。valentineって、どんなのっスか?」

「そっか、お前帰国子女だもんな。知らないんのか?」

「ウィッス」

「バレンタインっつーのはだなぁ……」

「何してんのおチビっ!」

「わっ!」

「あっぶねー…」



勢いよく後ろから菊丸に抱きつかれた為、バランスを崩し、前に倒れかけたリョーマを桃城が支えた。



「…英二先輩。いきなり背後から抱きつかないでやって下さいよ」

「にゃははは。ごめんごめん。で、何の話してたの?」


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]