□ある意味素直なヤツ
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(第一走者、堀尾も一緒なのか)


パン、と刻み良い音が鳴り、トップバッターの越前達は紙を引きに走っていた。

(越前、何が出るんだろうな)

内心、わくわくしながら見ていると、それを引いた越前が一瞬大石先輩の方をバッと見た。

(…もしかして大石先輩を借りていくのか?)

と、少しわくわくとしたが。
どうしたものかすぐに方向を変えて走り出した。


(……おい、もしかして。)


(俺の方に向かってくる?)

越前達がいるところを第一編成所とするならば、俺は第二編成所にいる。
校庭も広いもんだから結構距離もある。
こんな所までどうしたんだろうか。

…つか、遠くからだから俺のほうに来てるように見えるだけなのかもしんねえけど……。

と、思ってみたがやはりそれは気のせいではなかったようだ。



「桃先輩…!早く!」

「え、越前!?」


誰よりも足が速いことを証明するような走りだった。
他の競争者は皆近くで声を荒げているようだが他の選手はこんな遠い所までは来ていない。

だが、越前はあっという間に俺の所につきテニス部で鍛えられたその体力で、特に息を切らした様子もなかった。

(借り物の対象で俺が選ばれたって事か?)

状況が上手く掴めずに頭を悩ましている俺を、越前は強引に手を引っ張ってそこから抜け出させた。

「…つかお前、何当てたんだよ!」

ハッとなった俺は越前と並び、走りながら一番気になった事を聞いた。

だってよ。
俺が『その』対象だったって事だろ?!
だったら俺にも聞く権利がある!
気になってしょうがねえ。

(越前が俺のところに来るってんなら、『仲の良い先輩』とか『面白い人』とか、そういう類かと思っていた)

…まあ、でもちょっとそれも嬉しいかもしんねえ。

越前が俺の事を仲が良い。だとか面白いだとか思ってくれてんならなあ

なんて、思考をめぐらせていたのに。


「……共通のものがある先輩」


返ってきた言葉は、本当にどうでも良いような内容で思わず「はあ?」と聞き返してしまった。


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