姫子先輩のお気に入り

□デイジー編
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「デ・イ・ジー、ご機嫌いかが?」

「えっ!?あ、姫子先輩。ご、ご機嫌よう」


お昼休み。


裏庭で古森君と一緒にお弁当を食べていたらいきなり姫子先輩が現れて、ちょっとびっくりしちゃった。


「デイジーったら、殿方とランチだなんて、あなたも隅に……って、まぁ!そこにいるのは“白粉花(おしろいばな)の君”ではなくてっ!?」

「……うっ、うわっ!」


……あらら。


古森くんってば、完璧、姫子先輩にビビっちゃってる。


まぁ、それも仕方ないか。


古森くんの住んでいた所には、姫子先輩みたいに強烈なキャラは棲息していなかっただろうし、免疫無くて当たり前だよね。


「……あの、姫子先輩。白粉花の君って?」

「デイジーったら!今、あなたの隣に居る殿方の事ですわ」

「古森くん?」

「ち、違う……オ、僕……そんな……違う」


私と姫子先輩同時に見詰められて、古森くん、ますます怯えちゃったよ。


「駄目ですわ、白粉花の君。ほら、お顔を上げなさい」

「……う……あ」


私を見る古森くんの瞳が、SOSを発してる。


だけど、ごめんね。


姫子先輩が男の子を花の名前で呼ぶなんて初めてだったから、私はその花の持つ意味が知りたいの!


「白粉花って、どんな意味があるんですか?」

「そのまんまの意味ですわ!ご覧なさい、デイジー。白粉花の君ったら子猫のように震えて、なんて可憐なのでしょう!」

「……はぁ、まぁ」

「それに、この陶磁器のような白い肌……これぞまさしく白粉花の君ではなくて!?」

「――ひっ!」

「古森くん!しっかり!!」


駄目です、姫子先輩っ!


それ以上近付いたら、古森くんの心臓止まっちゃいます!


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