□初恋2
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衝撃的な出会いから何故か忍足は跡部に気に入られていた。
「オイ、忍足。コレが今日の各自の練習メニューだ」
そう言って渡されたのは、テニス部のレギュラー・準レギュラー・その他の部員に別れた練習メニューだった。
「せやから何やねん? 俺やなくて3年の先輩に頼めばエエやろ?」
「はぁ? 何であんな奴らにこの俺様が頼まなきゃなんねぇんだよ?」
(いやいや、何言ってんだコイツみたいな顔されても・・・それ言いたいのは俺の方やちゅーねん)
「せやったら、何で俺やねん?」
「まぁ、俺様には及ばずとも実力は認めてやれるのはお前位なんだよ」
「お褒め頂いて光栄です。・・・せやけど残念な事に、まだ準レギュなんで俺の指示に皆が従うとは思われへんよ」
お褒め頂いて〜の台詞を棒読みした後に忍足はそう続けた。
「あ〜ん? 俺様の代理だ。誰も文句言う奴は居ねぇーよ」
そう言うなり、紙の束を忍足に押し付け跡部は自分教室に戻ってしまった。
「侑士って本当に跡部に気に入られてるよな」
「何しみじみ言っとんねん、岳人ι」
跡部に自分の席を取られていた向日が椅子に座りながら話かけて来た。
「いやだってさ、跡部が仕事任せるの侑士にだけじゃん?」
「そんなんされても迷惑なだけやって」
机に顔を付けながら絞り出すように忍足は言った。
しかしながら向日の言う事は正かった。
跡部は学力・体力・外形・家柄のどれを取っても彼の右に出る者が居なかった。