□初恋
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小学校卒業と同時に『忍足侑士』は関西の学校から氷帝学園に転校になった。
(これで何度目の転校やけ・・・。まぁええわ、また適当に周りに話合わせとけばエエやろ。)
彼は幾度とない転校を経て、身心共に大人びていた。
そんな彼の特技は、遊び程度に始めたテニス。
それが運命の人と出会う事を、今の彼は知るよしもなかった。
―桜舞う中行われた氷帝学園の入学式―
その新入生代表の挨拶をしている少年に、そこに居た全ての人の目が奪われた。
彼の名は『跡部景吾』。
ハニーブラウンの髪にアイスブルーの瞳、誰の耳にも心地よく響く声。
完成された人物がそこに佇んでいた。
(確かに綺麗な顔しとるけど、あの自信にみち溢れいる態度とキツそうな眼が気に要らんな)
それが跡部に対しての忍足の第一印象だった。
忍足のクラスはB組。
一般的な学校ならば出席番号順に席につくのだが、この氷帝学園は生徒達の交流を大切にするらしくランダムな席配置になっていた。
(なんやこの学園。一般の学校とちゃうとは聞いとったけど、しょっぱなからかいな・・・)
そんな感想を抱いていた彼の制服が引っ張っられた。
「お前見ない顔だよな? 転入してきたのか? 俺は向日岳人。岳人でいいぜ。ヨロシクな。」
そこには赤い髪にを綺麗に切り揃えた小柄な少年が座っていた。
「えっと、関西の方から越してきた忍足侑士や。岳人やっけ? こっちも侑士でエエよ。よろしゅうな。」