太陽の華

□calling you
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『っ…!

……〜…!』


「こっちから聞こえるね」


「あんま大声出すなよ」


「うん」



シアンの言葉に頷いてゆっくりと声の方へと近づいてゆく

そして少しだけ開けた空間に出た、その瞬間



『こんな簡単なこともできないのに仲間になったつもりか!?

雑用の分際で!!!』


『ひっ』


「っ!?」



私は目を丸くした

私の視線の先にいたのは怒号を発するラッタとピジョンが2人ずつ

そしてその4人に囲まれるようにして倒れているボロボロになったナックラーくんだった



「っ!

な…もがっ」


「バカっ

今いくやつあるか」




飛び出しそうになった私をシアンが後ろから羽交い締めにし、口を右手で塞ぎながら強い調子で耳打ちした

幸い、みんなナックラーくんに集中してたみたいで気づかれなかったみたいだ



『ご…

ごめんなさいっ

ごめんなさいっ』


『謝りゃすむって問題じゃねぇんだよ!』


『お前からなんでもやるって言ってきたんだろうが

わざわざ入れてやってんだからやることくらいやれよ

できねぇじゃなくてよ!』


『何回同じミスを繰り返すんだ!

お前の代わりなんか掃いて捨てる程いるんだよ』


『気持ち悪ぃ眼しやがって…

仲間になれたとか勘違いしてんじゃねぇよ!』


『っ…

ごめんなさい…』



彼らは絶えずナックラーくんに暴力をふるいながらそれを楽しむかのように暴言を吐く



『その眼のせいで親にも棄てられたんだよなぁ…

気持ち悪いって言われて

ハッ

ざまぁねぇな』


『っ!』


「…え?」



私は思わず小さく声を漏らしてしまった

親が…

子どもを棄てる?

ポケモンの世界でもそんなことがあるの?



『その右目も親にやられたんでしょ?

で、ホウエンから離れたカントーに置き去りとか

まじうける〜』



女の子のピジョンが意地悪く笑った



『俺らだっていつでもお前を捨てられるってこと…

わかってるよなぁ?』


『っ!

ごめんなさいごめんなさい!

なんでもしますっ!

なんでもしますから…

捨てないで!』



ナックラーくんの叫びを聞いた瞬間、私の中で何かが勢いよくはじけた気がした














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