太陽の華

□darkness and the moonlight
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休みつつ、私たちは山を登った

もう夜中の11時頃だ

すると目の前に広がったのは



「わぁ…」



まるで火山の噴火口の底にいるような光景

空は少し狭く、しかしそこからは星と月が煌めいていた

青黒い空に散りばめられたようにしてある星は、私の上だけに密集してあるかのようにも感じられる

ふと前に視線を戻すと、大きな石が2つあった

1つは縦に長い石

そしてもう1つはその石の土台になっている石

そこから半径5メートルほどは何もない空間が広がっていた

逆に言えば、半径5メートル以上には適度な大きさの石がたくさん転がっている



「あきちゃん

こっち」




ソラに呼ばれてあたりを見渡すと、みんなは岩の陰に隠れていた



「ピッピたちって、警戒心めちゃくちゃ強いらしいよ」


「じゃぁ一回フラッシュ止めるわ」


「すでに擬人化済みじゃん」


「うるせぇな」


「し〜

ピッピたちはたった1分くらいしかでてこないみたいだからね

注視しておこう」




私たちしばらく岩陰から大きな岩を見ていた

すると



『満月?』



可愛い小さな声がした



『満月?』


『満月』


『満月!』


『満月!』



どこからともなく、ピッピたちが集まりだしたのだ

私は食い入るようにその様子を眺める



『満月は!』


『進化の時!』


『月!』


『石!』


『月の石!』



ピッピたちは口々に言いながら踊り出した

するとそのうちの1人が輝きだす



『進化!』


『進化した!』


『おめでとう!』



クルクルと踊りつつ、祝福の言葉を述べる

するとまた1人

また1人とピッピたちは進化していった

しかし4人目が進化したら、ピタリとピッピたちは止まった



『今日はここまで』


『ここまで?』


『ここまで』


『次はまた満月の晩に!』


『満月!』


『満月!』



そういいながらたくさんいたピッピたちは消えて行った

まるで妖精のように



―――
―――――



「すごかったね」



私はまだ夢心地だった



「幻想的だったね」


「月の石ってこの近くにあるのかな?」


「楽しかったのか?

今のが?」



「…シアンってパレードとか嫌いでしょ?」


「…」



こうして神秘的なお月見山での1日が終わったのだった













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