short story

□通暁
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「あ、俺のことは気にせず、話を続けて」


「こんな状況で!?」



とかいいつつ、無言だとなんか…ね

だから私はまた話始めた



「あ〜

じゃぁ…

えっと…」


「ん〜」



私は泳いでいた視線をセピアの手元に集中させた

カチャカチャと分解されるそれはなんか魔法みたいで

…私は魅入られたように見つめていた



「セピアと会う少し前、シアンと買い物したんだ」


「…へ〜」


「本当はケンカしてたんだけど、ちょっと危なくなった時にシアンが駆けつけてくれたんだ

だから大丈夫だったの」


「…ふ〜ん」


「やっぱり持つべきものは仲間だよね」


「…どうだか」


「え?」



正直、びっくりした

なんでセピアからそんな言葉が出たかわからなかったから

慌てて見たセピアの顔はケータイじゃなくて私を見ていた

しかもいつものニコニコ顔じゃなくて、少し困ったような悲しいような顔で



「ご主人って鈍感だよね

俺やシアンがどんな気持ちかわかってないんだ」



「え?

どういう」



お…

怒らせちゃった?

どうしよう



「まぁいいや

俺が本格的に動き出すのはもう少し時期を見るから」



「え?」



クスッと笑うと、セピアはまたニコニコしながら作業に戻った

な…

なんだったの?

時期って何?



「ほら、あんまり気にすんなよ」



コツンと私のおでこにセピアは自分のおでこをくっつけた

一瞬で心臓が大きく跳ねた

それだけなのに私の顔は一気に熱くなる



「セ…セピア!」


「ハハッ

ご主人真っ赤」




その様子を満足げに見つめると、目を細めて私からゆっくりと離れた

そしてすぐにケータイに視線を戻した













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