short story

□通暁
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「ねぇ、セピア〜」


「ん〜?」



視線はケータイに落としたまま、セピアは答えた

私は続ける



「セピアってなんでそんなに機械に強いの?」


「ん〜

機械好きだから?」



「いや、逆に聞かれてもわからないけどね」



ぶっちゃけ、セピアがポケモンってのを忘れかけるよ

いつの間にそんなスペック高くなったんだろ…



「なんか機械って構造とか気になる

どうやって動いてんだろとか…

こうしたらもっといいんじゃないかとか」



「そんなこと思いながら機械見てたんだ?」


「ん〜」



カチャカチャと小さなマイナスドライバーを右手で駆使する音が小さく鳴る

相変わらず顔はニコニコしてるけど…

セピアはいまいち何を考えてるかわからないな

う〜ん

雑談でもするか



「セピア〜」


「ん〜?」


「そういえばこの前ね、ユカリちゃんと草むらの帝王になろうとしたんだよ」


「ん〜」


「そうしたらラッタ達に怒られてさ〜

危なかったんだ」


「ん〜」


「…聞いてないでしょ」


「ん〜」


「ほら!

聞いてないじゃん!」



ガチャと少し強い音がすると、セピアの手が止まった



「あ

やっべ」



「何?

何!?

やっべって何?」


「何でもないって」


「何でもあるでしょ!?

絶対に何でもあるって!

何しでかしたの?」


「大丈夫、大丈夫

…多分」



「多分て!」



慌てる私をよそに、セピアはまた作業を再開させた













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