太陽の華

□lonely lonely caterpillar
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「キャタピーくんってずっとこの森に住んでるの?」


『う…うん』



私はその場を和ませようと、キャタピーくんに話しかけた



「出たいって思わないの?」


『出る?』


「森以外の場所に

街とか原っぱとかに」


『話には聞いたことあるけど…

行きたくないかも』


「えっ

どうして?」



私は少なからず驚いた

マンガとかゲームとかだと早く自由になりたいとか、他の場所に行きたいとかよくあるのに



『だって…

森から出たら何があるかわからないから』


「それってどういう…」


「しっ

無駄話なら止めろ」




私の言葉を遮るようにシアンが鋭く言った



「もう、だいぶ近い」



ごくっと私は生唾を飲む

頭によぎるはスピアーとの恐怖

左腕の傷が少し痛んだ気がした



「屈んどけ」



私たちはその指示に従い、木と植え込みの陰に隠れた

そっと顔を覗かせるとそこには木をまるまる一本包むようにしてできているスピアーの巣が

巣付近にはスピアーはいないようだ



「…っ」


『あっ

ママ!』


「し〜」



不意にキャタピーくんが声を出し、それを打ち消すかのようにセピアが唇に人差し指を当てた

キャタピーくんの視線をたどって左の方を見るとそこには…



『あたしの坊やをどうしたのよ!!!!』



三匹のバタフリーが舞うように飛び、スピアーと対峙していた



「あそこにいるのがキャタピーくんの家族?」



私が小声で話しかけると、キャタピーくんはコクリと頷いた



『真ん中にいるのがママで…

両隣には兄ちゃん

多分、トランセルの兄ちゃんはどこかに隠れていると思う』


「!!」


「!

しまった」



「え?」


『お前ラ…

ここで何シテル』



背後から突如聞こえた声に背筋が凍った













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