太陽の華

□eyes
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「あ…の

こんにちは〜」


『っ!!!』



ナックラーくんがビックリした表情でこっちに振り向いた

その瞬間



「!!?」



私は目を見開いた

だってナックラーくんの目が…



『…あなたが驚いてるのは瞳の色ですか?

それとも潰れた右目ですか?』



ちょうど私からは左側しか見えなくて、わからなかった

でも、ナックラーくんの右目には眉間あたりから耳の方まで斜めに一筋線が入っていた



『言った所で届かないと思いますけど…』


「あ、いや

すいません

驚いてしまって」


『まさか僕の言ってる言葉がわかるのですか?

…いや、そんな訳ないですよね』



自嘲的な笑みを浮かべながらナックラーくんが俯いた



「わかりますよ?

私には君の言ってることが」


『…え?』


「わかります」



私はしゃがみこんでナックラーくんに笑いかけた



「すみません

あの、ちょっと聞きたいことがあるんですが…」


『聞きたいこと…

ですか?』



私を遠慮がちに見上げる



「あの、あなたはポケ賊ですか?」


『…一応、そういうことになりますね』



ナックラーくんはチラッと自分の右腕を私に見せる

するとそこにはくすんだ紫の切れ端がついていた



「君は略奪とかやらなさそうなのに…」


『僕はしませんよ

僕は…

雑用みたいな…

感じです』



ナックラーくんの歯切れが悪かった



「どういうこと…」


『もう…

行かなきゃです

追いつけなくなっちゃうので』


「あっ!」



そう言い残すと私の前から走っていった

ナックラーくんの背中はどこか寂しそうで

彼がいなくなった方を私はしばらくみていた













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