太陽の華

□the dawn of departure
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オーキド博士のお孫さんの旅グッズを分けてもらい、私はバッグの中に入れまくった

これはすごい…!



「ポケモン図鑑は渡せぬが、これで旅はできるじゃろ」



ポケモン図鑑…!

なんだと、欲しいが、ここまで良くしてくれたのに図々しくて言えないではないか!



「ポケモン図鑑って渡す人が決まってるんですか?」


「いや

そう言うわけではないが…」



オーキド博士は苦笑した



「ポケモン図鑑はポケモンを捕まえないと登録されない

つまり、ポケモン図鑑を所持しているトレーナーは研究のためとはいえ、ポケモンを乱獲しているようなもんなんじゃ

じゃから図鑑完成を頼むトレーナーはあまりいない

ポケモン図鑑を渡すとトレーナーはパートナーを捨てて新しくて強いポケモンを欲しがる傾向があるからの」


「そんなのひどい!」



気づいたら私は怒鳴っていた



「パートナーは、一人しかいないのに…

仲間だって同じ種族はいても同じ個体はいないのに…!」


「そうじゃな」



怒りで震えていた私の肩にオーキド博士は手を置いた



「あきちゃん、ありがとう

じゃから君はポケモン図鑑なしで旅をしてくれ

いつでも帰ってきなさい」


「はい…

はい!」



私の握り拳をシアンはそっと舐めていた



「はい、これがトレーナーカードじゃ」


「わぁ…」



それはまさしくゲームのトレーナーカードと瓜二つだった

ただ、写真は胸から上で、お小遣いはかかれていないが



「本当に本当にお世話になりました!」



私は深く頭を下げると嬉しそうな笑い声が聞こえた



「では、行ってきなさい

気をつけるんじゃよ」


「行ってきます!」



私は研究所から外へ出た

まだ空は青っぽく、霞がかっている

少し肌寒い気温と澄んだ空気

東の空がオレンジになってきた

オーキド博士たちが手を振ってくれている

それに応えてから私たちはトキワシティの方へ向かった



『ようやくスタートラインだな』


『…』


「うん…」



ドキドキする

ワクワクする

この先の未来を思い描きながら私たちは歩みを進めていった













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