アオキミオ

□Sorriso〜アオキミオU・0〜
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side L…


『ひとつ』になりたかったんだ……『そう』なれると知った時……心から。

姿も、声も、居場所も……名前さえ、『本来在るべき者』から奪い取って生きていた俺だから……その全てを還す事が出来ると知って、心から安心した。
アイツが『本物のルーク』だからじゃない。
ただ、アイツに生きていて欲しいだけ……俺自身の命よりも、アイツを選んだだけなんだ。

きっと、誰にも理解されないだろう。分かって貰いたいとも思わない。

アイツが消えた、あの瞬間……俺の心は闇に包まれた。


夢、希望、未来……世界に求めるモノは、何も無かった。

犯した罪の贖いも忘れ、『最後の約束』を果たす事しか考えられなかった俺は……もう、『狂って』いたんだと思う。

世界の行く末なんて、どうでも良かった。
自分の命さえ、どうでも良くなった。

……アッシュが何処にも居ないから。

そんな時に知った、ひとつの仮説……一度命を落とした被験者が、レプリカの音素と融合して生き返る……『一人のルーク』に戻れる可能性がまだ、残されていた。

それが、堪らなく嬉しかった……

俺は、ただ世界から消える訳じゃない……アッシュの『命』になるんだって……


アッシュと『ひとつ』になりたかった……

居場所と名前を返して、命を還す……それが俺の『最後の希』になったんだ。


アッシュとの約束通り、ヴァン師匠を倒し、ローレライを解放した俺は、自分の躯から音素が零れていくのを感じた。
腕に抱いたアッシュの冷たい躯が、ぴくりと動いたことも……

『ひとつ』になれる喜びと、もう二度とアッシュに逢えない淋しさと、残り少ない俺の命の時間の苛立ちと……色んな感情がぐちゃぐちゃになって、涙が溢れて……そうして、俺は消えた……筈だった。

『ひとつ』になりたかった。

一度は『ひとつ』になった。

それなのに、俺達は再び『二人』になった。『そう』なることを、アッシュが選んだから。

アッシュは、全てを捨てて『二人』になる道を選んでくれた。
俺は、アッシュ以外の全てを捨てても、アッシュの傍に居たいと思った。

世界を捨てる事に、未練なんて無かった。アッシュの傍に居られるなら、他に望むものなんて何も無いから。

でも……アッシュは、本当にこれで良かったのかな?

『ひとつ』になれば、アッシュはルークに戻れたのに……

どうして『全て』を捨てて、一度は消えた俺を『世界』に連れ戻してくれたのか。

どうして『二人で居る事』を許してくれたのか。

その答えを知るのが怖くて……訊けないまま、俺は扉をくぐった。

アッシュの温もりを、左手に感じながら………


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2009年11/3改訂版up
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