短編
□鯉のぼりよりケーキ
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「この料理はどうしたの?」
「あぁ、こどもの日だってことは聞いたんだけどな、どういう日なのかは聞いてなくて」
「…え」
「んでツナが鯉がどうとかって言ってたから」
「……」
「んで店に行ったら鯉はないって言われて」
「…それで?」
「とりあえず刺身買ってきた」
日本語は流暢なくせにこういう日本文化には疎いらしい。
なんとなく痛い頭を押さえつつ順番につっこんでみる。
「なんでケーキがあるの?」
「んー祝い事ならケーキかなと思って」
「…それはそうだけど…」
あぁ世界って広いな。
どうして変なこといっぱい知ってるのにこういうことは知らないんだろう。
「え、やっぱなんか違う?」
「うん」
そっかぁとしょげるディーノとテーブルの料理を見比べてみた。
祝われたことなんかないけど、なんだかまるで
「こどもの日っていうより誕生日みたい」
「…確かにそうだな」
ディーノが、あ、という顔をした。
「そういえば恭弥の誕生日っていつだ?」
あぁやっぱり知らなかった。
僕はニッと笑って抱きついてやった。
「ハンバーグ食べたら教えてあげる」
なんだかサプライズパーティーみたいでこういうのも悪くない。
end.