短編
□素敵な日
2ページ/3ページ
「いや、俺も忘れてたし、興味ないかなと思って」
「僕だっておめでとうの一言くらい言えるよ」
どうやら知らなかったことで拗ねているらしい。
なんだよ、可愛いじゃねーか。
「じゃあ今からでも祝ってくれよ」
そう言って恭弥の顔をのぞき込むと急にうろたえた。
いざ言おうとすると恥ずかしいらしく、あーとかうーとか言っている。
しばらくの後、俯いたままで小さな声が聞こえた。
「お…おめでと…ぅ」
「Grazie.」
そう言って髪を撫でると少し顔をあげた。
目があったので
「プレゼントに恭弥が欲しいな」
なんて半分冗談で言ってみた。
意外なことに罵声もトンファーも飛んでこなくて、少しだけ目を泳がせた後、向こうから
ちゅ
と、キスしてきた。
「…え?」
「…プレゼント!」
そう言う恭弥を抱きしめたのは、恥ずかしさで逃げ出さないように捕まえておくためじゃなくて
「うわー…どうしよ、嬉し過ぎるんだけど」
負けないくらい真っ赤な自分の顔を見せないため。
end.
あとがきとおまけ→