短編

□素敵な日
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「いや、俺も忘れてたし、興味ないかなと思って」

「僕だっておめでとうの一言くらい言えるよ」

どうやら知らなかったことで拗ねているらしい。

なんだよ、可愛いじゃねーか。


「じゃあ今からでも祝ってくれよ」

そう言って恭弥の顔をのぞき込むと急にうろたえた。

いざ言おうとすると恥ずかしいらしく、あーとかうーとか言っている。

しばらくの後、俯いたままで小さな声が聞こえた。

「お…おめでと…ぅ」


「Grazie.」

そう言って髪を撫でると少し顔をあげた。

目があったので

「プレゼントに恭弥が欲しいな」

なんて半分冗談で言ってみた。


意外なことに罵声もトンファーも飛んでこなくて、少しだけ目を泳がせた後、向こうから


ちゅ


と、キスしてきた。


「…え?」

「…プレゼント!」


そう言う恭弥を抱きしめたのは、恥ずかしさで逃げ出さないように捕まえておくためじゃなくて

「うわー…どうしよ、嬉し過ぎるんだけど」


負けないくらい真っ赤な自分の顔を見せないため。


end.


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