長編
□噂のあの子
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最初に口を開いたのは、早くもフリーズから脱した骸だった。
「ひっ、雲雀くん!!誰ですかこの男は!?」
男性客がいるときに骸が来るといつもこうなる。今回も先が読める展開かと思いきや、ディーノが爆弾を落としてくれた。
「恭弥、こいつ誰?」
その発言に骸だけでなく雲雀までも固まった。そして今回も先に動いたのは骸だった。
「きょきょ恭弥って!!君、何なんですか!?」
「あ、わりぃ、自分から名乗るのがスジだよな。俺はディーノ」
「僕は六道骸…じゃなくて!」
雲雀ははぁーと溜め息をついた。
「大体近すぎです!雲雀くんは僕はそんなに近付けてくれないじゃないですか!!」
「…めんどくさい……」
「それに名前だって!!」
「それはこの人が勝手に僕のファースト」
「ギャーーー!!言わないで下さい聞きたくありません!!」
「ちょっと君、何勘違いしてるの」
「もういいです!!今日のところは帰ります!!」
そのまま骸は顔を押さえ、うわあああんという声と共に走り去っていった。
「どうしたんだあいつ?」
「はぁー…」
その翌日からボンゴレには女性客が増えた。
その理由は、『雲雀のファーストキスが金髪の男に奪われて、その男と骸で取り合いになっている』という噂が流れたからだった。
雲雀が噂を知った次の日、ボンゴレの前にディーノと骸が倒れていたのは言うまでもない。