長編

□噂のあの子
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小さな町ということもあり、訪れる客は常連ばかり。
だが最近、常連に新しい顔ぶれが加わった。

「よっ!また来たぜ」
「……」

眩しい金髪をなびかせて店に入ってきたのは、先日雲雀にプロポーズをして水を掛けられたディーノだった。
雲雀はギロリとディーノを睨みつけると、直ぐさま目を帳簿へと戻した。
ディーノは雲雀のいるレジカウンターに頬杖を付いて話しかける。

「相変わらず無視かよ〜、なぁ話くらいしようぜ!」
「……」
「なあ恭弥ぁー」
「……ちょっと」
「お、なんだ!?」

やっと声が聞けたと目を輝かせるディーノを雲雀はまたも睨みつける。

「何その呼び方」
「え、恭弥じゃなかったっけ?」
「そうだけど、勝手に人のファーストネーム呼ばないで」
「ダメなのか?」
「馴れ馴れしい」
「いいじゃん仲良さそうで!」
「良くない」

要領を得ない言い争いを続けていると、カランとドアの開く音と共にこれまた面倒な客が入ってきた。

「こんにちは!雲雀く…」

元気よく入ってきた骸は、カウンターにいる雲雀とディーノを見てフリーズした。
一方ディーノはきょとんとしていて、雲雀はといえば頭を抱えていた。
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