長編

□ananas
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「こんにちは……」



そこには大きな箱を抱えた、骸と同じ髪型に眼帯をしたエプロンドレス姿の少女が立っていた。

「やぁクローム、いらっしゃい」
「…あの……これ」
「あぁカーテンかい?どうもありがとう」

雲雀が骸をどかしてクロームから箱を受け取る。



クロームは骸の店で働く無口な少女で、従業員らしくいつも店の制服を着ている。
雲雀はあんなパイナップルの下、一生懸命働く彼女を気に入っていた。




「重かったでしょ?」
「大丈夫、レースカーテンだったから…」
「ちょっと待って。お金持ってくるから」

雲雀は一旦店の奥へと消え、代金の入った封筒と紙袋を持って戻ってきた。

「これ。代金と新作のパン。よかったら食べて」
「え…そんな…」
「お礼だよ、どうぞ」

焼きたての香ばしい匂いにクロームがほんのりと笑う。

「……ありがとう」



そしてクロームはぐずる骸を連れ、店へと帰っていった。




雲雀が早速レースのカーテンを付け替えていると、綱吉が工房から出てきて血まみれのトングとトレイを見つけた。

「あ、骸来てたんですか?」
「うん。クロームも。カーテンを届けにね」
「雲雀姉さん…トングに血を付けるのやめてくださいっていつも言ってるじゃないですか」
「いつも言ってるでしょ、あのパイナップルが来なかったらね」


綱吉はふぅとため息をついて、血まみれのそれらを洗うため店の奥に戻って行った。
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