長編
□ベーカリー・ボンゴレ
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よく晴れた昼下がり。
今日のヴァレンシアのメインストリートには、いくつものテーブルが並べられていた。
テーブルの上には焼きたてのパンとたくさんの料理。
その回りには町じゅうの人が集まっていてとても賑やかだ。
「そろそろ始めようよ」
そう言ったのは雲雀。
その言葉を合図に全員がグラスやコップの飲み物を持ち、店の前に立つ綱吉を見た。
緊張した綱吉を見て雲雀はわざとらしく言った。
「それでは10代目、ご挨拶をどうぞ?」
綱吉がひゅっと息を飲み込む音が聞こえたようだった。
「え、えっと…今日はお集まりいただきましてありがとうございます、そのー俺、今日からボンゴレを継いで10代目になりました。えーとだからうわぁぁっ!?」
たどたどしいスピーチを始めたばかりの綱吉の足元にフォークが突き刺さった。
「僕お腹が空いたから早くしてよ」
腰の抜けた綱吉を見て町の人々は大笑い。
フォークを投げた姉はしれっとして次のフォークに手をかけた。
それを見て綱吉は慌てて立ち上がり、少し中身の零れたカップを頭上に上げた。
「そ、それじゃあみんな、今日はどうぞたくさん食べていってください!」
わぁっと歓声が起こり、乾杯!とかおめでとう!という声が飛び交った。
そして賑やかなパーティが始まった。