短編

□ぼくのパパとママ
1ページ/5ページ

「お願いします雲雀さん!」
「…なんで僕?」



ぼくのパパとママ



並盛のとあるマンションの一室のドアの前、そこには部屋の住人である雲雀と、ツナとフゥ太がいた。


「お願いします、明日の昼には迎えに来ますから」
「ちょっと、僕に子守なんてできると思ってるの?」
「それなりに相手してご飯食べさせといてくれればいいんで」
「酷いね君そんなこと本人の前で言っていいの?」


なぜツナが雲雀の家を訪れているかというと、実は沢田家が家族旅行に行くことになったのだ。
ツナ自身そこまで乗り気ではないが、久々の旅行が楽しみでもあった。
しかし居候の子供たちまで連れていけないのであちこちに預けている、という訳なのだった。



「他に頼める人いないんですよ〜」
「銀髪の問題児にでも預けとけばいいじゃない」
「獄寺君に預けて大丈夫だと思いますか」
「……」
「ほらぁだから雲雀さんしかいないんですよ」
「待ってよ、大体なんで僕の家知ってるの」
「それはまぁ俺もマフィアのボスになる男ですから」
「君散々嫌だって言ってなかったっけ?」
「気のせいです、それより雲雀さん、フゥ太をよろしくお願いしますね」
「僕はいいとは言ってな」


「恭兄ぃ……」


2人が息をつく暇もなく言い争っている今まで何も言わなかったフゥ太が、俯いたままぽつりと呟いた。
恭兄なんて呼ばれたことは一度もないが、それが自分を指すものであることは雲雀にもわかった。


「……なに?」


仕方なく尋ねるとフゥ太は大きな瞳いっぱいに涙を溜めて雲雀を見上げてきた。



「…僕……恭兄のおうちに泊まっちゃだめ…?」


小さく震えるその瞳からは今にも涙が零れそうで。
もともと小動物が好きな雲雀がそれに勝てるはずもなく。


「…っ………わかったよ…」
「ほんと!?ありがとう恭兄!」


大きな瞳をキラキラさせて喜ぶフゥ太を、雲雀は家へと迎え入れた。


それじゃあお願いしまーすと手を振るツナにトンファーを投げ付け追い払ってから、はぁ、と溜め息を吐いたのだった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ