短編
□We Love Us
1ページ/3ページ
朝目が覚めると、すでに隣に恋人の姿はなかった。
目線だけ部屋の隅に動かすと、鏡の前でネクタイを結ぶ後姿が見えた。
(・・・しまった)
いつもは自分の方が早く起きるのに今日は先を越された。
ベッドから起き上がると鏡越しに目が合ったので、おはよう、という代わりにウインクをした。
すると鏡越しにうんざりした目線が返ってきた。
「おはよう恭弥」
恭弥が振り返ったので今度は直接目が合った。
「何そのだらしない顔」
第一声がそれかよ、と思ったけれど仕方ない、自分の恋人はこういう人なのだ。
「んー恭弥は可愛いなと思って」
キュッとネクタイを締めてあげると、恭弥はふい、とまた鏡の方を向いてしまった。
(拗ねちゃったかな?)
そう思って鏡を見たら、頬を染めた恭弥が映っていた。
(そういうところが可愛いんだよなぁ)
後から抱きついたら殴られたけど。