短編

□We Love Us
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朝目が覚めると、すでに隣に恋人の姿はなかった。

目線だけ部屋の隅に動かすと、鏡の前でネクタイを結ぶ後姿が見えた。

(・・・しまった)

いつもは自分の方が早く起きるのに今日は先を越された。


ベッドから起き上がると鏡越しに目が合ったので、おはよう、という代わりにウインクをした。

すると鏡越しにうんざりした目線が返ってきた。


「おはよう恭弥」

恭弥が振り返ったので今度は直接目が合った。

「何そのだらしない顔」

第一声がそれかよ、と思ったけれど仕方ない、自分の恋人はこういう人なのだ。

「んー恭弥は可愛いなと思って」

キュッとネクタイを締めてあげると、恭弥はふい、とまた鏡の方を向いてしまった。

(拗ねちゃったかな?)

そう思って鏡を見たら、頬を染めた恭弥が映っていた。

(そういうところが可愛いんだよなぁ)

後から抱きついたら殴られたけど。
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