長編

□ベーカリー・ボンゴレ
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地中海の風が吹き抜ける町、ヴァレンシア。
その町のメインストリートの3つ目の角を左に曲がると、古い小さな、でもどこか可愛いらしいパン屋がある。
入口の横には立て看板が置いてあり、開店時間や季節のパンなどが書かれている。
そしてその一番上に書かれているのがこの店の名前だった。


『ベーカリー・ボンゴレ』


一人の少女が、まだ開店前の店のドアを開けて入って行った。

「ただいま綱吉」
「あぁ雲雀姉さんおかえりなさい!」

綱吉と呼ばれた少年は心底ほっとした顔をした。

「どうしたの?」
「だ、だって姉さん書き置きもなしにいなくなっちゃったから…」
「ちょっと、しっかりしてよ、君は今日からボンゴレ10代目なんだから」
「は、はい!」

そう、今日からこのパン屋の主は、今日16歳を迎えた綱吉。


「それよりパンは焼き上がったの?」
「はい、もうすぐ全部終わります」
「そう。じゃあ僕も料理を作らないとね」

今日はボンゴレ10代目の就任を祝ってのパーティー。
昼を過ぎれば、町じゅうの人がやってくる。

「お昼まで時間がないから急がないと」
「はい!」
若いボンゴレの姉弟は工房へと戻って行った。
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