長編
□ひとめぼれ
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「ご馳走になった上に泊めてもらっちまって、なんかワリーな」
「いえ、元はと言えば姉さんのせいですから…」
あの後キッチンの片付けをした獄寺は、ムスッとした顔をしながらもディーノの見送りに来ていた。
当然と言えば当然だが、雲雀は来なかった。
「じゃあまた来るぜ、ツナ」
「「ツナ？」！？」
「その方が呼びやすいだろ、じゃ！」
ディーノが手を振ると、馬車が走り始めた。
獄寺は「テメー10代目に向かって馴れ馴れしい！」と叫んでいたが、綱吉はどこか嬉しそうに手を振っていた。
＊ ＊ ＊
ガタゴトと揺れる馬車の中、ディーノは昨晩のことを思い出していた。
「雲雀、恭弥か……」
結婚してくれないか、と言った瞬間、かぁっと真っ赤に染まった顔。
暴れだした後はよく覚えていないが、あの表情が頭から離れない。
「…とんだじゃじゃ馬かもな……」
次はいつ会いに行こう。帰り道、ディーノの頭はそのことでいっぱいだった。