Love to...

□T
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“ドタンッ”

ス「――っ!」


アリスがいた為、体制を整えることができずにスネイプは床に背中を打ちつけた。


「お父さん、大丈夫?」


上に乗っていたアリスが心配そうに顔をあげた。


ス「あぁ、大丈夫だ。」


返事を聞くと、アリスはスネイプから降りて立ち上がった。
スネイプは起き上がるとローブについた埃をはらう。


ス「まずは、グリンゴッツ魔法銀行からだな。」

「え?でも、私銀行に口座なんて持ってないよ?」

ス「親が遺した金がある。」

「…ねぇ、私の親ってどんな人だったの?同じ学年だったんでしょ?」

ス「あまりいい思い出はない。君の両親はグリフィンドールだったからな。」

「そっか。でも、じゃあきっと2人共勇気がある人だったんだね。」

ス「…そうだな。」


銀行に行った後は、制服や学用品などを買い、2人はオリバンダーの店へ向かった。



ーーー……



ス「ここだな。」


スネイプが扉を開けてくれ、アリスが先に店に入る。


オリバンダー「いらっしゃい…あなたと会える日を楽しみにしていましたよ、Ms.アリス。」

「え?ぁ、はい。」

オ「あなたの両親も、ここで杖を買って行きました。懐かしいですね。」

「あの…父と母を知っているんですか?」


オリバンダーは杖を漁りながらアリスの話を聞いていた。


オ「お2人共、立派な魔法使いでしたよ。…早速ですが、これはどうかな?」


杖を受け取り、軽く降ってみた。


“バタバタバタ…”


棚に積まれていた箱が次々と落ちて行った。


「ぁ、ご…ごめんなさいっ!」

オ「この杖は合わんようだね。」


アリスから杖を受け取ると、また箱を漁りはじめた。


オ「では、これはどうかな?」


再び杖を受け取り、軽く降ってみる。


“カシャン…”


「ん??」


頭上から金属音が聞こえ、アリスは上を見上げた。


「え!?え!?えぇ?!」


上から照明器具が落ちてきた。


ス「アリスっ!!」


名前を呼ばれ振り向くと同時に腕を引かれ、スネイプに抱きしめられる。
直後に店内に大きな音が響き渡った。

“ガシャンッ!!”

ガラスの割れるような音にアリスは驚き、音のした方を見た。
すると、そこには粉々になった照明器具があった。


「ぁ……。」


目にうっすらと涙が滲む。


ス「ケガはないか?」

「う…うん。」

オ「よっぽど合わなかったようだな。」


オリバンダーが杖を受け取ろうとアリスに手を伸ばしたその時。


「な、何!?」


2本の杖が飛んできて、アリスの前で止まった。


オ「これらの杖の材料は、たしか…。」


3人が杖を見ていると、2本の杖は光を放ちながら合わさり、1本の杖になった。


オ「これは…!?」

ス「一体、何が起こったのだ?」

オ「…その杖を持ってみなされ。」


アリスはそっと杖を手に取った。


「うわっ!!」


青白い光と共に風が巻き上がり、気づけば店内はすべて元通りになっていた。


「…すごい。」

オ「こんなことは初めてだ。」

「あの…。」

オ「杖は自ら主人を選ぶ。その杖は君を選んだのだ。大事にしなさい。」

「はい。」


しっかりとオリバンダーの目を見て頷くと、アリスとスネイプは代金を払い、店を出た。


ス「不思議なこともあるもんだ。」


「…杖が合体したこと?」

ス「あぁ。はじめて見た。」

「オリバンダーさんも“こんなことは初めてだ”って言ってたね。どうしてかな…?」

ス「さぁな。…そうだ、これをやろう。」


スネイプはどこからか真っ黒な子猫を出した。


「…猫?」

ス「入学のプレゼントだ。早く受け取れ。」

「あ、うん。」


受け取った猫は、まん丸の愛らしい目でアリスを見ていた。


「かわいい!!ありがとうっ!」


笑顔で言ったアリスを、愛おしく思った。


ス「(娘を持った父親とはこういうものなのか。)」


アリスが一方的に話しかけていたように見えなくもなかったが、2人は笑顔で話しながらホグワーツへ帰って行った。











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