Love to...
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「ポピー、いる?」
ポンフリー「はい、いますよ。」
事務所からポンフリーが顔を出した。
ポ「まぁ、アリス。授業はどうしたんです?」
「ちょっと怪我しちゃってね。診て欲しいんだけど…。」
ポ「もちろん、いいですよ。それが私の仕事ですしね。」
「ありがとう。」
ポ「どこを怪我したのですか?」
「背中。」
そう言って後ろを向いたアリスの背中は、ローブもYシャツも切り裂かれ血で真っ赤になっており、その下の皮膚は大きく抉れていた。
ポ「まぁ、大変!すぐに治療しますからね。さ、そこのベッドにうつ伏せになって。」
「シャツは?」
ポ「切りますよ。」
ジョキジョキと布が切れる音がする。
ポ「あなた、これは一体何にやられたんですか?」
包帯やら消毒液やらを準備しながらも問診をする。
「ヒッポグリフに。」
ポ「まぁ!」
「あ、ちょ、待って。私はドラコを庇っただけで、別に私が無礼なことをしたわけじゃないからね?」
スネイプ「アリスっ!!」
突然、スネイプが髪を振り乱して医務室に入ってきた。
「あれ、お父さん。どうしたの?」
ス「お前が怪我をしたと聞いて来たんだ。大丈夫なのか?」
「うん、大丈夫。」
ス「それより、今言っていたことは本当か?!」
「えっ、今って…?」
ス「マルフォイを庇った、と。」
「あ…うん。本当だよ。」
ス「馬鹿者!あんなやつのためにお前がが怪我をする必要はないだろう!!」
「ご、ごめんなさい。」
スネイプの勢いにおされ、アリスは謝った。
ポ「セブルス、先にアリスの手当てをしたいのだけれど、いいかしら?」
ポンフリーにそう言われてはじめて、目の前のアリスの状態に気付いたスネイプは顔を紅くし思い切りカーテンを引いた。
ポ「少し滲みるかもしれませんが、我慢するんですよ。」
「うん。」
傷口に塗り薬をたっぷり塗っていく。
「痛っ!」
アリスが体を捩った。
ポ「動かないで!」
「だって…これ“少し”じゃないよ!“大分”滲みるよっ!」
ポ「仕方ないでしょう。ほら、もう少しですから!」
そう言うと、容赦なく薬を塗りこんでいった。
「痛ぁ…。」
アリスは、涙を流しながらもどうにか治療を終えた。
まだ傷が塞がりきってはいないため、包帯を巻き、また明日ポンフリーに診てもらうことになった。
「ありがとう。」
ポ「セブルス、終わりましたよ。」
ポンフリーがカーテンを開けると、そこには不機嫌そうな顔をしたスネイプがいた。
ポ「大声を出すなら他のところに行ってくださいね。ここは医務室なんですから。」
そう言い残してポンフリーは事務所へもどって行った。
「あのっ…お、お父さん…?」
ス「心配したのだ。」
「…え?」
突然抱きしめられ、アリスは驚きに目を見開いた。
ス「お前が怪我をした、と聞いて心臓が止まるかと思った。」
「…そんなに?」
ス「あぁ。お前があんな馬鹿な奴を庇う必要などない。」
「でもっ…」
ス「あれは自業自得だ。それに、あいつは一度大怪我をしてみた方がいいんだ。」
「そうかなー?」
ス「そうだ。」
抱き締めていたスネイプの腕が離れた。
その代わり今度は肩を掴まれ、2人の視線が重なる。
ス「もう一度言うが、ドラコの代わりにお前が怪我をする必要などない。わかったな?」
「…うん。」
大きく頷いた。
「お父さん、心配かけてごめんなさい。」
ス「さて、寮まで送ろう。」
そう言って、アリスの羽織る背中が破れたローブの上に自分のローブをそっとかけた。
「血、付いちゃうよ?」
ス「構わん。シャツは着ていないのだろう?」
「…うん。ありがとう。」
ス「行くぞ。」
「うん。ポピー、ありがとう!」
ポ「寮では絶対安静ですよ!」
「はーい。」
2人は医務室を後にした。
ス「…痛くないか?」
「少し痛いけど、大丈夫。」
ス「そうか。念のために後で痛み止めをやろう。」
「ありがとう。」
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