無 限
□恋する乙男
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「…………」
「男のクセにベタベタしちゃってさ、錦戸くんに迷惑とか思わないの?」
「……………」
「何とか言えないの?」
「………………」
首を横に振ると、余計怖い顔で睨んできた。
周りの子からも次々に痛い言葉が飛んでくる。
リーダーの子が溜め息をついて、僕を見据えた。
「…じゃあ、もう今後一切錦戸くんに関わらないでくんない?」
――…亮…ちゃんと?
「っ…何で?」
「…だって、アンタみたいのと一緒にいて錦戸くんに変な噂たったら可哀想だもん」
「……何なん…それ…?」
震えた拳で、ギュッと学生服のスラックスを握った。
「えー…、――……だってアンタ、そっち系なんでしょ?」
わざとらしく間を置いて、リーダーの子が言った。
「…ッ……――」
「やー、てゆーか、有り得なくない?」
「でもこの顔なら相手してくれんじゃない?」
誰かがバカにしたように笑うと、やっぱり周りの子の笑い声も聞こえ始めた。
―――……ッ…
「別に錦戸くんにこだわる理由なんてないじゃん。アンタ男にもモテるし、自慢の顔でどうにでもなるんでしょ?」
「………ッ…ぃゃ…」
「―…はぁ?」
「―ッ…亮ちゃんやないと…嫌やもん…―ッ…アカンのもん…ッ!!…」