無 限

□それでも君を愛してる
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「ただいまー」


「おかえり、たつよし」



深夜3時をちょっと過ぎた頃


疲れたそぶりで帰ってきた君を、今日も笑顔で迎える




「まるちゃ〜ん」


たつよしがリビングに座っていた俺を後ろから抱き締める


「んー、どしたん?」


「たつよしが甘えん坊や」って笑ったら、「その笑顔癒されるわー」って抱き締める腕に力をいれられた



「まるの笑った顔見ると、めっちゃ癒されんねん」



そう言って君は、ギューッとまた腕に力を込めた



その言葉を聞いて、安心した




良かった


俺、ちゃんと笑えとる




抱き締められているとき、ふいに鼻をつくのは甘い甘い酔いしれる香り




遅く帰ってくるたつよしの体からは、いつも女の子の香水の臭いがする





「…なぁ」


「んー?」


「……………」




また女の子と遊んできたん?





そうただ一言、笑って聞けば済むのに






「…………何でもないわ」

「何やそれ」





俺の曖昧な返事に思わず笑いだすたつよし


「可愛えぇなぁ」と言って、そっと後ろから俺の頬に唇を落とす





本当は聞きたい


聞きたいけど、聞かない




だってそしたら
何もしらないフリをしていたら


君はまだ、こうしてキスをしてくれるでしょう?





面倒臭いのは好まへん


せやから、笑って君が帰ってくんのを待つねん








笑って 笑って



何も知らないふりをして

君の大好きな『えがお』を準備して








END






 
 

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