平 成(+α)
□キスの数だけ
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「いのーくんっ!この問題教えて!」
「また?…しょうがないなぁ、どれ?」
「えっとね、…この問題!」
浅香が教科書を持ってベタベタとまとわりついてくるから、仕方なく教科書を受け取って目を通す
中3の問題だし、ある程度考えればすぐ答えはでる
教えることには何ら問題はないんだけど……
「…浅香」
「なぁーに伊野尾くん?vV」
「……この問題、さっきも俺に聞きに来たよね?」
つい10分ほど前に解いた覚えのある数式を前にして、思わず眉をひそめる
教科書から顔を上げると、浅香はニッコニコ笑いながら「うん!」と首を縦に振った
「……いやいやいや、うん!じゃなくて……」
「せっかくいのーくんに教えてもらったんだけどさ、なんか他の問題やってたら解んなくなっちゃって、それでまた聞きにきちゃった!」
「………………」
さすがにちょっと、と思って何か言ってやろうと思ったけど
いまだニコニコ笑ってる浅香を見たら、ツッコム気も無くなってしまった
「…忘れちゃダメじゃん、受験生なんだから」
「あ、そっか!」
そっか、じゃねぇよ(いのーくんっ!?By有岡)
「でもすぐ忘れちゃうんだよねー」
「……浅香は、どうしたら忘れないと思う?」
「うーん…」
腕を組んで真剣に考える姿
目を細めた表情にが、ふいにもかっこいいなんて思った時
「………あっ、そうだ!」
浅香がニコッと笑って、突然俺をギュウーーっと抱きしめた
「っ!?な…何?」
「問題解くたびにいのーくんがチューしてくれたら、頑張れるかもvV」
「……はぁ?」
何を言ってるんだ
しかも抱きついたどさくさに紛れて尻まで触ってきてる
「…そんなんで覚えられるわけ「覚えられるよ!じゃあいのーくんも嫌じゃないみたいだし、決定ねvV」
「・・・・・・・・・・」
「……っよし!出来たよいの−くんvV」
「………はい、『また』せ−かい」
「やったー!これで連続8回!」
あれからまんまと言いくるめられて、二人仲良く勉強を再開したわけで…
「…思うんだけど、別にキスじゃなくても良くない?」
「え?…もしかしてエッチの方がよかっ―」
「キスで良いです、大賛成です」
「なーんだ」と言いながらニコニコ笑って、浅香が俺の頬を両手で包む
「伊野尾くん可愛い、顔赤いよ?」
「………うるさい」
目を閉じる寸前まで見えた、その整った顔が近づいてくるのがわかる
実はその瞬間が満更嫌でもなかったりで
でもそんなこと言ったら絶対調子に乗るから、絶対言わない
8回目のキス
唇に吐息がかかる寸前、浅香がそっと口を開いた
「だって大好きな伊野尾くんとキスするために頑張ったことなら、絶対に忘れないもん」
END
初の浅いの、こんなんで良いのか…(・・:)←