平 成(+α)
□お姫様のイタズラ
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「いのーくんっ、こっち向いて!」
「は…?」
いきなり高木に声をかけられて
ふいに頭の上に何か重みがある、と違和感を感じた
「…何これ、……花?」
手探りで自分の頭に手をそえると、やわらかいヒラヒラの感触が手につたわる
見上げると、高木は楽しそうにニコニコしながら俺を見つめていた
「そ、さっき撮影のセットで使ったやつなんだけど、もらってきちゃった」
「きちゃった」って…さすが、精神年齢小学生
心の中で笑っていると、ふと壁に備え付けられた鏡が目についた
まるで髪飾りのように1輪の華やかな白い薔薇が、俺の頭に飾られている
自分で見ても「微妙だなー」なんて思っていると、隣に座ってテヘテヘ笑っている高木が楽しそうに口を開いた
「やっぱいのーくん、ちょー似合うね!かわいい!お姫様みたい!」
「…えぇー…」
そうかな?なんて鏡にうつっている自分を見ると、その横では「いのーくんかわいー」なんて、まるで知念を見るみたいな笑顔で俺を見つめている高木が見えた
俺からすれば、よっぽどそうやってる高木の方が可愛いと思うけど…
「…んー…でも、お姫様とか、そういうのは大ちゃんの方が似合ってるんじゃない?」
「あ、やっぱり?そう思ってねー…ほら!」
高木の指差した方向を見ると、そこにはまぁ可愛らしい
ゲンナリとした表情でちょこんと頭に黄色いヒマワリの花をのせた大ちゃんがいた
そっか、俺が撮影の間にさんざん「かわいいかわいい」とイジられてたんだ
あぁー見たかっ…じゃなくて、可哀想に、ご愁傷さま