novel
□―夏の終わり―
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打ち上がる花火を見た時の事、覚えてる?
ボクは覚えているよ…ずっとね
―夏の終わり―
斎王に連れられ、日本にある別荘で夏の終わりに花火を見ていた…
別荘は遠くで太鼓の音が小さく聞こえるくらいの場所だった、花火をゆっくり見るには最適だった
ボク達は別荘のベランダで軽く食事をしたりお酒を飲んでいた…
「ボーっとして、どうしたんだいエド?」
「うん?いや…改めて、日本の夏も良いものだと思ってね?」
ゆっくりとシャンパングラスを持ち上げ、打ち上がる花火をシャンパン越しに覗きながら言った
そんなボクを見て斎王は
「あんまり飲みすぎちゃいけないよ、エドはお酒が弱いだろ?」
ボクだってもう大人なのに、いつも子供扱いだ…
「別にそんなに飲んでないよ、…それに夏も終わりなんだ、花火も終わり…酔わずにはいられないだろ?」
「…もう酔っているんじゃないか「違う…まだ酔ってないよ!ただ…」
「ただ…花火を見ていると悲しいんだ…とっても綺麗に輝いて直ぐに散ってしまう儚い花…」
斎王は悲しい顔で
「エドは花火が嫌いかい?」
「嫌いじゃないよ?悲しいし、寂しくなるんだ…もう二度と会えないような…」
斎王が強くボクを抱きしめた…
思わず持っていたシャンパングラスを落とし、砕けた…
「花火の代わりにはならないけど…私はずっとお前と一緒に居るよエド」
「斎王…」
ボクは答えるように斎王の背中に手を回した…
斎王、君は花火のように消えないで…
ずっとボクの側に居て
終わり