お題

□壊したくなる5つの衝動
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掴んだ手首の細さ




憎々しげに睨み付けてくるのを無視して、幸村の手首を掴んだ手に力を込めた。
――細い。

こんなに細かっただろうかと疑問に思いかけるが、そういえば今までコイツの手首なんて厚い革の籠手に包まれた状態でしか見たことがないのだと、そう気付いた。


「離してくだされ!」


乞われる言葉とは正反対に指にさらに力を込めると、幸村の眉が不快気に歪んだ。

――炎の宿る目だ。闘士の、目。

だが闘士と言うには、頼りない骨格・・・。
だからきちんと筋肉が発達していても、どこか華奢な印象を拭えなかったのか――。


「・・・離してくだされッ!」


幸村が、いい加減焦れたように、手首を掴む俺の手をもぎ離そうとする。
その指も、なんだか細いような気がして――。


「聞いておられるのか!?」


丸い印象の目を精一杯吊り上げて、叫んでくる。
いつもの革の上着に包まれていない肩も、思っていたよりずっと薄くて。
立てられた襟のせいで以前はわからなかったが、首も男にしてはほっそりしている。


「いい加減に、怒りますぞ!?」


幸村の手首は、まだ俺の手の中にある。

俺の指で軽く一回りしてしまえるその手首を――俺は、冷たい畳に縫いとめた。






後書き
 幸村、筋肉はありますが、体の作り自体は小さめなような・・・。
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