お題
□佐助×幸村で10のお題
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「くっ・・・う・・・」
「・・・旦那?どうしたの?」
およそ半刻後。
旦那の部屋から聞こえた、押し殺すような呻きに、声をかける。
「腹が・・・痛い・・・」
・・・アホだ。食べ過ぎだよ、アンタ。
・・・・・・いや、俺の方がアホだ。
いかがわしい妄想かまして、旦那が食べ過ぎるのを止めそこなった俺に責任がある。
「ん・・・うぅ・・・」
「旦那、お薬飲みなさい?」
「嫌・・・だ・・・」
「旦那!」
「薬を、飲みすぎると・・・良くないと・・・お館さまが・・・」
「このお館馬鹿がーーッ!!」
ああ、そうかい。またお館さまかい。
戦場で負った傷なら、旦那はどんだけ酷くたって、「平気だ」と言い張る。
けど、こういう日常的な痛みにはすぐに弱音を吐く。
転んで膝を擦り剥いたとか、つんのめって壁に激突したとか(アホだ)、すぐに「佐助〜!」と泣きついてくる。
なのに、お館さまに言われたことだから我慢するってことかい。
「某は・・・男子なので・・・我慢・・・できる、のだ・・・」
・・・それ多分、小さい子供が自分を鼓舞する時に言うセリフだよ。
「あ・・・じゃあ、せいぜい頑張んな」
食べ過ぎて腹が痛いだけだ。病ってわけじゃない。放っといても、大事無いだろう。
「あ・・・あぁっ、ん・・・」
「あの・・・」
「ぅ・・・ふっ、んふっ、う・・・」
「ちょっ、旦那・・・?」
「は・・・あ、ぅ・・・」
「ごめんなさい、俺の話を聞いてください」
煽ってんの?俺のこと、煽ってんの??
「あのさ、何喘いで・・・いや、呻いてんの?」
「声を・・・出すと、何事も、良い方向に・・・く、う・・・」
そりゃね、確かに戦う時とか声を上げれば気合も入るだろうけどさ。
旦那、言ってること意味わかんないし。
「声を、出した方が・・・痛みが和らぐ・・・んあっ、気がして・・・」
「あ・・・そ・・・う?」
「ぁ・・・はぁ、ん・・・」
喘ぎ声にしか、聞こえねぇよ・・・。
本当もう、勘弁してくれ。ただでさえ半刻前に散々煽られたってのに。
旦那、腹が痛くなくなるまで、この声出し続けんの?
「あ・・・っや・・・うぅ・・・」
こんなへろへろの状態の旦那を一人にしてたらヤバいと思うけど、ずっと一緒にいてあげんのも、違う意味でヤバい。
俺の自制が続かない可能性がある。
「旦那さぁ・・・やっぱり、薬飲もうよ」
「やっ、あ・・・いらな・・・あぅっ」
ちょっともう、本当に勘弁して下さい。
下手したら、俺、一晩中生殺し!?
旦那が、俺の着物の袖をぎゅうと掴んでいる。ここにいろということらしい。
・・・この状態の旦那と・・・二人きり・・・。
・・・何の耐久試練だよぉおおぉぉ!!
「んっ・・・佐、助ぇ・・・」
潤んだ目、今にも泣き出しそうな表情、荒い息と喘ぎ声にも似た・・・。
「大丈夫、旦那?」
大丈夫じゃないのは、俺の方だよ。畜生。
冷や汗を滲ませる旦那の髪を撫でて、気付かれないように小さく溜息を吐く。
「あ・・・ぅ・・・は・・・ッ」
あぁもう・・・ほんと、忍の修行で鍛えた俺の自制心に感謝してよね。
後書き
佐助が変態くさくなった(爆)
普通にオカンにしたかったのになぁ・・・。
2006.4.10