お題
□佐助×幸村で10のお題
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まず、俺が止める前に急いで菓子を食べ始めやがった。
「佐助、佐助、流石お館さまの下さった葛餅!
大和から取り寄せた最高級の葛を使っておるらしいぞ!」
言いながらぱくりと食らい付く。
俺は、「最高級はわかったけど、2つまでにしなさいよ」とそう言うつもりだったんだ。
けれど俺が口を開く前に、アレなことが起こった・・・。
「あ・・・」
思ったよりも脆く柔らかかったらしい葛の生地がするりと裂けて、とろりとした餡子が旦那の口元を汚した。
「むぅ・・・」
少々眉を顰めて、唇についた餡を舐め取る旦那。
指についた餡も舐め、舌が届かない顎などについた餡も指で掬って、大事そうに舐める。
その情景は、なんか・・・なんだか、良からぬことを連想させるもので・・・。
「美味かった!」
俺がうっかり動きを止めて旦那を凝視してる間に、お重に納められた大量の葛餅を、旦那は完食なさいましたとさ・・・。
・・・一つとは言え、俺の分がきちんと残してあるところが、なんか可愛いじゃないの・・・。
・・・なんて、感慨にふけってるのが悪かった。
葛餅大量に食ったってぇのに、この人は素早く、竹の皮に包まれた水饅頭をぱくり。
「ちょっと、旦那・・・!?」
俺の制止が入る前にできる限り食おうとか考えたんだろう。
一つ目を飲み込んですぐさま、二つ目を掴む旦那・・・で、つるつるした水饅頭が、つるんと滑った。
一瞬宙を舞った水饅頭を、けれど旦那は器用に手の平に収めた。
そのまま、二度と落とすまいとでも言うようにもう片方の手を添えて、手ではなく顔の方を水饅頭に寄せ、口に含む。
その様子が・・・なんかもう・・・。
勿論想像しちまったよ、不埒なことを・・・。
「さっぱりしておるのう」
・・・また、完食なさいました。夢想しすぎだよ、俺・・・。
今度も、俺の分はちゃんと残されている。
こういうところは・・・ほんと良い子なんだけどさ・・・。
「・・・って、旦那!今度こそ全部は・・・!?」
「んんっ!」
拳ほどもある生麩饅頭を素早く頬張った旦那が、目を白黒させる。
葛餅や水饅頭と違って一口ではどうにもならない大きさの生麩饅頭に、旦那がうぐうぐと苦しそうにしている。
どんだけ甘味が食いたいんだよ、この人・・・アホだよ・・・。
なんて心中で呟きながらも、思わず食い入るように見入ってしまう。
饅頭を咥えたまんま眉根を寄せ、「んっ、うっ・・・」とか言いながら懸命に飲下しようとする旦那。
「んふっ・・・ぅ・・・」
「・・・・・・」
これは・・・おいおい、まんまアレだよ。あの様子にしか見えねぇよ・・・。
反則じゃねーか!いや、本人無意識なのはわかってるけどさ。
「んぐ・・・む・・・」
・・・俺、三段戦法で滅茶苦茶煽られてるんですけど・・・。
ヤバ・・・ちょっ、自制だ!自制しろ佐助・・・!!