雨色

□共感
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こうしていると業務は?と思うかもしれないが、レイは自分の分ならばしっかりと終わらせている。

当てられた業務を早々に片付け、普通なら平隊員なのだから雑用に回るべきだろうがレイにはすべき事があった。

そのために通っているのが図書館である。

そこでレイは自分が眠っていた間の、ここ尸魂界で起こった歴史を調べているのだ。

一言で歴史と言ってもその量は何千年とあり膨大としか言えない量。



業務に十一番隊との鍛錬、図書館通いとレイの一日は恐ろしく内容の濃い日が続いた。

もちろんこれは浮竹に許可を取っての行動。

この努力が実ったのは桜の季節から二ヶ月程たった、暦上では初夏の頃だった。










複数で来た現世任務。

レイは久しぶりに現世へと降りた時から不思議な感覚を感じ取っていた。

自分に訴えかけるような何か。



霊圧とはどこか違うそれは、探らずとも誰のものかが分かる。

―――黒崎一護だ。

確証があるわけではない。

しかし確信していた。

そしてこの日からレイが現世へと降りれば、毎回同じものを感じる日が続く。

距離や時間、何にも関係しない心に訴える何かを。



その何かに変化が訪れたのは、6月中旬の雨の日だった。

単独任務で現世へ足を踏み入れ、レイが嫌いな天候に顔を歪ませると同時に気付いたのは、一護の感覚がいつもと違う事。

荒々しくなったり消えそうな位に静まったりと揺れるそれに、何かあったのかと気にせずにはいられない。





この日は日曜日という事もあり、雨が窓を叩く中で一護は何をするわけでもなく部屋にいた。

気力がないのかベッドにただ寝転ぶだけ。

しかしそんな一護も頭の中ではレイの事がチラついている。



レイが一護から感じる何かがあるように、一護も同様のモノをレイから感じていた。

初めて会った日から約二ヶ月経ったが、忘れられない優しい感覚を一護が捉える。

家にいる時、学校にいる時、寝ている時でさえ起きてから感じる残り香もとい感覚に、無意識でレイの姿が浮かぶのだった。

ただこの日はその感覚が不安定な気がして、同調させるかの如くそのまま目を閉じる…

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