雨色
□共感
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「こんにちはー」
「あー、レイちゃん!!」
「おせーぞ!早く俺の相手しやがれ」
ここは男の園、十一番隊。
またの名を更木隊
先日の単独で任務についた虚の討伐から、レイは暇があれば通っている場所が二箇所あった。
その一つがここ、十一番隊の修練場。
理由は簡単で、先日の報告書を見て元柳斎に言われてしまったのだ。
“霊圧を制限されてるとは言え、低級の虚に手こずるとは言語道断。当分現世任務は頼めんな”と。
姿を見られた上に黒崎一護の記憶を消さなかった事もあり、報告書の内容は改ざんした部分がある
とはいえ低級の虚に傷を負わされたのは事実。
レイはそれも受け入れるしかなかった。
過去とはいえ最強と謳われた者が戦外通告を言い渡されるのは屈辱以外の何者でもないのが普通だが、
レイが気にしていたのは…他でもない、黒崎一護の存在だった。
死神と人間。
お互いの立場から考えてこのまま会う事なく過ごすのがセオリーなのは明らか。
しかし、それでも心と言うのは何より正直者だから。
だからこそレイの心は彼に会う事を望んでいた。
今の状態で強くなる為に鍛錬を決めたのはすぐの事。
一人で鍛錬するより誰かと高め合う方が効率が良いので、自隊の隊員に混じって剣を振る、始めはそれで良かった。
しかし数日もすればそこらの隊員では相手にならなくなってしまう。
霊圧が抑えられているので鬼道は使い物にならないものの、戦術はそれ程に変わりないのだ。
席官に頼もうも、彼らは彼らで業務がある為に迷惑を掛けられない。
そこでレイの頭に浮かんだのが十一番隊だった。
業務をいつも驚くほどにほったらかしで修練場に入り浸り、強さを求めている十一番隊なら…と。
そして案の定、彼らはレイを歓迎し今に至るというわけだ。
「えー。剣ちゃんの相手は嫌。一角、相手お願いして良い?」
「おお!わりっすね、隊長!」
チッと剣八は舌打ちするが、実は彼自身レイの戦う姿を見るのが嫌いではなかった。
現に今もレイと一角が木刀で戦り合うのを見て口元をニヤリと上げている。
「剣ちゃん楽しそうだねー」
「レイの野郎、日に日に強くなってやがる。何も付けてねー状態で戦ってみてーな」
楽しそうに話す剣八の横で、やちるも嬉しそうに笑った。