雨色
□入隊
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「これからお世話になります」
似通った霊屋が並び立つ中、隣り合って歩く彼はレイの声で目を向けた。
「おお!うちの隊は良い奴らばかりだからな。きっとすぐに慣れるさ。
それと、敬語はやめないか?先生に使ってない敬語を使われるのは心地悪くてな」
苦笑気味に話す彼の長い白髪がいやに眩しい。
「…まぁ浮竹隊長がそう言うなら」
事は一時間程前に遡る。
以前と同じ様に一番隊へと集まった13人の隊長とレイ。
ここでも霊具のせいなのだろう。
彼女の独特な霊圧は微量にしか感じられず、自身は落ち着きなく震えて見える。
「さて…レイをどの隊に入隊させるかじゃが…特に思うところがなければ儂の意見で通そうかと思っておる」
この召集の本題を口にした元柳斎は一度視線を走らせてから再び口を開いた。
「ないようじゃな。
時に浮竹、この間レイの治療を受けてからいつもより幾分調子が良かったと噂に聞くが、今はどうじゃ?」
「はい。あれから雨乾堂で療養する事も少なく今日もこうして隊首会に出られる程に」
「そうか…ならばレイを浮竹の十三番隊に置いてみてはどうかの?」
これに誰にも分からない程度で肩を揺らす者数名。
浮竹といえば急な提案に目を大きくさせたが、不安な色を魅せるレイの瞳と合った途端微笑んだ。
「そうなれば、俺としては助かります」
「ならば決まりじゃな」
本当に良いのか、と言いたげな顔をするレイも、彼の浮かべる笑みが本心からだと判断し表情を緩めた。
「本来儂ら以外には、レイの事をただの新入隊員として合わせるつもりじゃったが…
不本意ながら先にあった大虚の襲撃で姿を見せ、強く大きな力までを振るってしまった。
この時点で皆にただの新入隊員として紹介する事は不可能」
これには皆ただ頷く事しか出来ない。
「よってレイが元ここの住人で隊長じゃった事、永い眠りから目覚めた事の公言を許す。
ただし零番隊、霊具、カタルシスの事は禁句じゃ。今霊力が弱いのは先の戦いで力を使い果たしたせいとする」