雨色
□震撼
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瀞霊廷内を並んで歩く男女。
特に変わった光景ではないのだが、すれ違う隊士は皆立ち止まり二人を凝視している。
十二番隊隊長にして異様な雰囲気を持つ技術開発局局長の涅マユリは兇器の研究者として周りから恐れられている男。
そんな男が知らない女隊士と歩いている。
それだけでも驚きだが、連れている女隊士が見た事のない美しい死神なのである。
正反対な容姿の二人は異常に目立っていた。
「実は私は君の事を前から知っていたんだヨ」
隊首室を出てから無言が続いていた二人の会話はそれから始まった。
いきなりの言葉に、昔と違う廷内を観察していた目を向けるレイ。
「君がいなくなってから創られた技術開発局だが、何の為に作られたか分かるかネ?
表向きは新技術・新霊具の開発、研究…しかし実際は違うのだヨ」
これには段々とレイの顔も真剣さを帯びてくる。
「諦めきれなかった上の奴らが君の安否を調べる為に創設したのだヨ。
そんな裏の事実を知った私は局長を引き受けると同時に君の事を調べようとした…」
言葉が急に途切れたマユリの顔は悔しそうに歪まされ、歯を食いしばっている。
「しかしないのだヨ!どこにも君の詳しい資料などなかった…
あの男が…初代局長だったあの男が持ち逃げしたのだ…
それに気付いた時には、もう奴は尸魂界を追放され行方など知れず…」
目の前まで迫った建物が技術開発局らしく、我が物顔で扉を開けるマユリ。
マユリに続いてレイが入ると独特の臭いと雰囲気が漂っており、白衣を着た死神達がこちらを見て固まった。
ここでも居心地の悪さは否めないが二人は奥の部屋へと歩いて行く。