MIST

□MIST-6-
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言葉が出なかった。



その街があまりに美しく輝いていたから。





「帰ってきたーって感じだなぁ〜…」

シャイングラス。

プレセアの生まれ育った街。



硝子というガラスは全て、鮮やかな純色の組み合わせられたステンドグラス。

道に開かれている露店には何処も、品物の隣にガラス細工の品物が並んでいる。


「――あ、エルザおばちゃん!!久しぶり――!!」

と、プレセアは八百屋であろう野菜や果物の並んだ棚の向こうに座っている女性を見付け声をかけた。

「お、その声は……プレセアちゃんかい?」

「うん♪」

ラキ達もきょろきょろ辺りを観察しつつ付いていく。

「……おや、そっちの方たちは?」

「あ、あたしの奴隷とお友達」

この場合お友達は女性陣をさす。

「誰がいつからテメェの奴隷になったよ」

口を挟むはもちろんラキ。

「今からー」

「――――ッてめ!この性悪女!!」

「何よチビ!!」



例の如く始まる言い争い。

「初めましてー。プレセアちゃんのお友達です、奴隷はあの赤いのだけですよーvv」

ニールがさり気に補足。



「……アズサ、こんなに綺麗な所初めてです」

「私も初めて見た」

「僕も……」

「わたくし、自分の生まれ育った地が一番素敵なのだずっと思ってきましたけれど……こんなに輝く街が、人間の国にもあるのですね」

一つひとつ手で作られた硝子細工。

それは暖かな光を放った。











「まっ……マジかよ……」

「大マジ。」

数日前に見たパウム邸に劣らぬ大きさ、そしてセンスの良さ。

白く塗られた壁の豪邸が、ど――んという効果音と共に建っていた。

言わずとも知れたアルマトーレ邸である。



「プレセア、只今戻りましたッ!!」

プレセアが一声。

すると。

扉では無く壁の一部がボコッ、と開いた。

彼女はそこをすたすた歩いていく。

一行が慌てて追うと、今度は行き止まりにぶち当たった。

プレセアが壁を触ると赤いボタンが現れる。

ぽち、と押すと床がエレベーターのように上昇。

ぐんぐん昇っていく。



「……何でこんな入り組んでんだよこの家は」

「そりゃースパイとか入れない為よ、普通に入ったら落し穴かトラップに引っ掛かるかも知れないけど、行くー?」

「……死んでも行くか」

ものの数十秒で床は止まった。

広い小綺麗な部屋に着く。


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