MIST

□MIST-4-
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ザッザッという、草を蹴る音。

と共に、ヒュッヒュッと剣が空を斬る音。



「ハイ、休まず斬る!!」

「…………」

丁度先頭を歩く長身の男でやっと肩が出るくらいの、ありえない伸び具合の草。

恐竜の模型なんか置いたらジュラ○ックパークに見えそうだ。







ラキ達一行はラフの村へと一直線に進んでいた。

……地図通りひたすら、地形を考えずに。



「休むなーお人好し黒ずくめ」

ニールが健気に邪魔な草を斬り続けるウラノスの背中をどつく。

「…………」

ウラノスは無言で道を切り開く。





「そういえば……何でアンタ、一人称ガタガタなんだよ?」

ちゃっかり草刈りの済んだ所を悠々歩く、ウラノスを除く面々。

ラキが器用に後ろ歩きで新入りのアズサに聞く。

「えと……ずっと山奥で父上に育てられていたので……言葉の勉強していないです」

アズサは下を向いてぼそりと呟く。



ウラノスに聞かれてはならない、と小声で。

「ふーん……おいっ苦労人!!コイツもお前みたいに言葉の勉強不足みてェだぜ!!」



「………………」



ズガアァァアン!!



「急がないと日が暮れますよ、僕は野宿は御免だよ」

銃口からのぼる煙を吹きながら言うのは言わずとも知れたイルー。

嫌味に微笑みながら黒いバズーカを背負い直す。

「……………………私の何処が勉強不足だ」

「全部?」

「……プレセア、お前もか」

ついにプレセアにまでイジメれる不幸ウラノス……。



「まあ、あせってもしゃーないで。ゆっくり行こや」

ひょいっとスパークがラキの肩に飛び乗る。

最近体が一回り大きくなったスパークを乗せるラキの肩は少々疲れ気味である。





「……良いこと思いついちゃった☆」

密かにニールが怪しく笑うのを見たのは……隣にいたイルーだけだった。

「ウラノスはアズサちゃんに正しいキュアル語を教える教育役とします。はい決定☆」

「…………何だ、それは……」

ウラノスは絶えず草をけちらしながら胡散臭そうにチラリとニールを見る。



―――――絶対何か企んでいる目だ……。



それ以上は考えるのも恐ろしい。

ウラノスは再び草刈りに集中する。


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