MIST

□MIST-1-
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……ん?やぁ、こんにちは迷い人さん。

――――え、ボク?ボクはね……いずれ判るから、今はまだ秘密。

それよりもさ、暇潰しにボクの話聞いてかない?

……決定。断られる前に決定ー。





じゃ、此処じゃ無い世界へキミを招待してあげるよ――。














魔物のはびこる、とある世界の話だ。

平和の為、またある者は己の力を試す為。

またある者は……大きな夢を持って。



『冒険者』となり、魔物と戦い旅をした。



ある者は刀を振るい。

ある者は魔法の力を身につけ。

ある者は自らの頭脳と能力を生かし。

異なる能力を持った者同士パーティを組み、笑い合い支え合う。





そんな冒険者の中でも盗賊(シーフ)の集まる盗賊ギルドがあった。

名をMIST(ミスト)。



駆け出しシーフから大怪盗まで……数あるシーフギルドの中でも最もたくさんの人数が集まって構成されているギルドだ。

実績も良く、何しろギルドをまとめる『ギルドマスター』がずば抜けて頭が良い。





キュアルリオート大陸の南に位置する、豊かな森の中。

盗賊のギルドにしては派手な、大きな館がそこにある。

ギルドマスター……彼の名はラット・G(グラント)・ファング、二十歳。

若いながら、至る所で指名手配中の大怪盗。

さらっとスマートに宝を盗み出し、ある時はトラップハウスを道場破りの如く次々と制覇し、お宝を抱えて帰って来る。

















―――前置きが長いって?

判ったわかった……じゃあこれから、一人の少年の話をしようかな。



燃えるような赤毛、背は低めで……かなりの毒舌。

無鉄砲で弱っちいヤツ。

駆け出しの盗賊、15歳。



大事なモノはお気に入りのダガーと自分の命と、仲間。

愛称は―――――ラキ。


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