Novel
□幸せな夕暮れ
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「あのな、俺だって誰かれ構わず受け取ってるわけじゃないんだぞ。はっきりさせるとこはちゃんとしてるんだからなっ。」
優は言った瞬間後悔した。
音葉は眉をひそめてため息を漏らし、彩音は「ふ〜ん」とニヤニヤ顔で見つめている。
「『はっきりさせるとこ』ってどんなとこ?」
彩音はニッコリと微笑んだ。
「まーいいじゃんっ」
ひきつった笑顔で優は答えた。
「今年は何人に告られたのかな〜?」
彩音は構わず続ける。
この兄妹の中で彩音の突っ込みに勝てる者はいない。
「中学時代の平均は9人、昨年は11人。で、今年は?」
「人数なんてわからないよっ。大体昨年までのそんな情報どこから聞いたんだよ?俺言った覚え―「お兄ちゃんのチョコを食べる数。」
「は?」
「お兄ちゃんのいいところって、もらってきたチョコを自慢の意味でなく、オープンに食べるとこだよね。それで、毎年私たちにチョコくれるけど、自分の分ちゃんと取ってくでしょ?私も最初は気付かなかったんだけど、お兄ちゃん甘いものそんなにたくさん食べるほど好きでもないだろうに、なんでかな〜ってちょっと前から思ってたんだょね。」
「……」